解雇にはいくつかの種類があり、その中でも経営者や人事担当者が特に注意すべきなのが「懲戒解雇」と「普通解雇」です。両者は似ているようで大きな違いがあり、対応を誤ると不当解雇と判断されるリスクがあります。本記事では、懲戒解雇と普通解雇の違いと実務対応のポイントを解説します。
Q:懲戒解雇と普通解雇の違いは?
A:結論
結論:懲戒解雇は、従業員の重大な規律違反に対する制裁的な解雇で、退職金不支給や即時解雇となるケースが多いのが特徴です。一方、普通解雇は、業務能力不足や経営上の必要性などに基づき、解雇予告や手当を伴って行う解雇です。
懲戒解雇と普通解雇の違い
- 懲戒解雇:横領・暴力・重大な規律違反などに対する制裁。即時解雇や退職金不支給の扱い。
- 普通解雇:勤務態度不良や能力不足、経営上の都合などを理由とする解雇。
- 効果の違い:懲戒解雇は労働者に厳しい処分であり、社会的影響も大きい。
- 法的要件:いずれも合理的理由と社会的相当性が求められる。
実務での注意点
- 懲戒解雇:就業規則に定めがない場合は無効。処分理由や証拠を十分に整える。
- 普通解雇:解雇予告(30日)または予告手当が必要。労基法第20条を遵守。
- 懲戒解雇は慎重に:社会的信用や再就職に大きな影響を与えるため、裁判で無効となるケースも多い。
- 文書化:解雇理由は必ず書面で通知し、記録を保存する。
未対応のリスク
- 不当解雇訴訟:裁判で解雇無効とされ、賠償や復職命令のリスク。
- 労働審判:短期間で解決を迫られ、不利な和解となる可能性。
- 労基署の是正勧告:解雇手続き不備により指導対象となる。
- 企業イメージの悪化:懲戒解雇の誤用が報道やSNSで拡散される危険。
よくある相談例
- 懲戒解雇は即日可能ですか?
- 原則可能ですが、手続きや証拠が不十分だと無効とされるリスクがあります。
- 普通解雇と整理解雇は違う?
- 整理解雇は経営上の必要性に基づく普通解雇の一種です。
- 懲戒解雇に退職金は支払う?
- 就業規則で定めがあれば不支給可能。ただし裁判で覆る可能性もあるため慎重に判断が必要です。
岩根事務所のサポート
岩根事務所では、解雇手続きの適法性チェック、就業規則の見直し、労務トラブル対応を支援しています。リスクを最小限に抑えた適切な人事管理をサポートします。
関連FAQ



まとめ
- 懲戒解雇:重大な規律違反に対する制裁的解雇。
- 普通解雇:能力不足や経営都合による解雇。予告・手当が必要。
- 両者とも合理的理由・社会的相当性がなければ無効となるリスク。
- 解雇理由や手続きの明確化で不当解雇リスクを回避できる。