出向命令と転籍命令の違いは?|中小企業が理解すべき人事異動のポイント

企業の人事施策として「出向」や「転籍」が行われることがあります。しかし、この2つは法律的な意味合いや労働契約上の扱いが大きく異なります。本記事では、出向命令と転籍命令の違いを整理し、中小企業の経営者・人事担当者が押さえるべきポイントを解説します。

Q:出向命令と転籍命令の違いは?

A:結論

結論:出向は在籍型人事異動であり、元の会社との雇用関係を維持したまま他社で勤務する形態です。一方、転籍は雇用契約の移転を伴い、元の会社との雇用関係が終了して新しい会社と契約を結び直します。

出向と転籍の違い

  • 出向:雇用契約は元の会社に残り、出向先で業務を行う。
  • 転籍:雇用契約が出向先に完全に移り、元の会社との雇用契約は終了。
  • 出向:給与は元の会社と出向先で分担する場合が多い。
  • 転籍:給与は転籍先の会社が全額負担。
  • 出向:従業員の同意なしで可能な場合がある(就業規則や契約に根拠がある場合)。
  • 転籍:従業員本人の同意が必ず必要。

実務上の注意点

  • 契約根拠の確認:出向の場合は就業規則や労働契約に規定があるか確認。
  • 本人同意の重要性:転籍は必ず従業員の同意が必要。
  • 処遇条件の明示:給与・勤務条件・復帰条件などを文書化。
  • 労務管理の複雑化:出向では二重の労務管理が必要になる。

未対応のリスク

  • 違法な人事異動:根拠なく出向・転籍を命じると無効になる。
  • 従業員トラブル:同意不足や説明不足により不信感が高まる。
  • 法的リスク:不当労働行為や損害賠償請求の対象となる可能性。

よくある相談例

出向と転籍は会社の都合で一方的に決められる?
出向は一定条件下で可能ですが、転籍は必ず本人の同意が必要です。
出向期間が終わったらどうなる?
原則として元の会社に復帰します。契約内容によります。
転籍後に元の会社に戻れる?
雇用契約が終了しているため、原則戻ることはできません。

岩根事務所のサポート

岩根事務所では、出向契約・転籍契約のチェック、就業規則の整備、従業員への説明支援を行っています。中小企業が人事異動を円滑に行えるよう、実務に即したサポートを提供します。

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まとめ

  • 出向=雇用契約は残る、転籍=雇用契約が移転
  • 転籍は必ず本人の同意が必要。
  • 契約書・就業規則の整備、誠実な説明がトラブル回避の鍵。

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