中小企業の経営者や人事担当者から多く寄せられる質問のひとつが「解雇と雇止めの違い」です。いずれも従業員との雇用契約を終了させる行為ですが、法律上の扱いや必要な手続きが異なります。本記事では、両者の違いと実務上の注意点を整理しました。
Q:解雇と雇止めの違いとは?
A:結論
結論:解雇は「契約期間の途中で会社が一方的に雇用を終了させること」、雇止めは「有期雇用契約の期間満了を理由に契約を更新せず終了させること」です。どちらも厳格なルールがあり、安易に行うと無効になるリスクがあります。
解雇と雇止めの違い
- 解雇:正社員や有期契約社員に対して、会社の判断で契約期間途中に終了させること。
- 雇止め:有期雇用契約の満了時に契約更新を行わず終了させること。
- 手続きの違い:解雇は客観的合理性と社会的相当性が必要、雇止めは更新を期待させていないかが重要。
- リスク:いずれも不当と判断されれば無効となり、裁判や労働審判で会社が不利になる。
実務での注意点
- 解雇:就業規則に基づく解雇理由が必要。解雇予告(30日前または予告手当支払い)が必須。
- 雇止め:更新期待がある場合は雇止め無効となることも。30日前の予告が望ましい。
- 契約書の明記:雇用契約書に契約期間や更新条件を明確に記載しておくことが重要。
- コミュニケーション:トラブル回避には、従業員との事前説明と合意形成が不可欠。
未対応のリスク
- 不当解雇・不当雇止め訴訟:裁判で無効とされると復職や賠償請求につながる。
- 労働審判:短期間で解決を迫られ、会社に不利な和解を強いられる可能性。
- 行政指導:労基署から是正勧告を受けるリスク。
- 企業イメージの低下:SNS等で「ブラック企業」と拡散される危険。
よくある相談例
- 試用期間中の解雇も同じ扱い?
- はい。試用期間中でも解雇は「解雇」に該当し、合理的理由が必要です。
- 雇止めはどんな場合に無効になる?
- 更新を繰り返して「正社員同様」と期待させていた場合などは無効と判断される可能性があります。
- 解雇通知は口頭でもよい?
- 法律上口頭でも効力はありますが、トラブル防止のため書面での通知が望ましいです。
岩根事務所のサポート
岩根事務所では、解雇・雇止めに関する就業規則整備、契約書作成、労使トラブル対応をサポートしています。リスクを最小化し、公正な人事管理を実現するお手伝いをしています。
関連FAQ


まとめ
- 解雇:契約期間途中で終了。合理性・相当性が必須。
- 雇止め:有期雇用の満了時に更新せず終了。更新期待がある場合は無効リスク。
- どちらも無効リスク・労働審判・行政指導の可能性あり。
- 契約書・就業規則の明確化でトラブル予防が重要。